地球温暖化への対策を考えるうえで、まずは影響する温室効果ガスの性質を把握する必要があります。
そのために使われるのが「地球温暖化係数(GWP)」です。
具体的には「そのガスが二酸化炭素の何倍の温室効果があるのか」を表します。
例えば地球温暖化係数(GWP)が2.0であれば二酸化炭素の2倍の温室効果があるということを示します。
それでは、以下の3つの温室効果ガスの特徴をみてみましょう。
二酸化炭素GWP1
メタンGWP2
一酸化二窒素GWP296
二酸化炭素GWP1
二酸化炭素は地球温暖化に及ぼす影響がもっとも大きな温室効果ガスです。
石炭や石油の消費などにより大量の二酸化炭素が大気中に放出されます。
また、大気中の二酸化炭素の吸収源である森林が減少しています。
大気中の二酸化炭素濃度は、1年間の周期的な変動をしながらその濃度は年々増加していて、2018年の世界平均濃度は407.8ppmとなり、工業化(1750年)以前に比べ47%増加しています。
大気中の二酸化炭素濃度が夏に減少し冬には増加するという周期的な変動をするのは、主に、植物が光合成や呼吸を介して大気と二酸化炭素のやり取りをする様相が、季節によって変化するためです。
メタンGWP2
メタンは二酸化炭素に次いで地球温暖化に及ぼす影響が大きな温室効果ガスであり、湿地や水田から、あるいは家畜及び天然ガスの生産やバイオマス燃焼など、その放出源は多岐にわたります。
大気中のメタン濃度は、1年間の周期的な変動をしながらその濃度は年々増加していて、2018年の世界平均濃度は1869ppbとなり、工業化(1750年)以前に比べ159%増加しています。
なお、大気中のメタン濃度が夏に濃度が低くなり、冬に高くなるのは、主に、OHラジカルとの反応によるメタンの消失と、湿地などからのメタンの放出が季節によって変化するためです。
一酸化二窒素GWP296
一酸化二窒素(N2O)は、二酸化炭素(CO2)やメタンといった他の温室効果ガスと比べて大気中の濃度は低いですが、単位重量あたりで高い温暖化をもたらす能力(地球温暖化係数)を持ちます。
また、成層圏オゾン層の破壊物質でもあります。
これまでの大気中のN2Oは1750年の270ppb (十億分率、1ppb = 0.0000001%)から2022年の336ppbまで増加してきました。食料、飼料、繊維、エネルギーの需要が高まり、廃棄物や産業活動による排出が増えることで、この増加傾向は今後も続くと予想されます。
地球温暖化係数(GWP:Global Warming Potential) とは、二酸化炭素を基準にして、ほかの温室効果ガスがどれだけ温暖化する能力があるか表した数字のことです。
GWPは気候変動に関する政府間組織(IPCC)によって公表されますが、実はその数値は確立しておらず、過去数回にわたり変更されている状況です。
私たちも引き続き関心ももっておきたい数字のひとつですね!